ランドスケープを愉しむ住まい

 

北鎌倉I様邸 木と漆喰の家 style04

設計のポイント

床の間は完成を表現する舞台。

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床の間は感性を表現する舞台


奥様は、正宝古流華道教授「宝梅庵」の先生。年間を通じて様々な花々と向き合い表現していく。先生にとって住まいは、華道教室の場であり自分自身の感性を表現する場所。特に、和室の奥の床の間は先生の感性を表現する最高の舞台。暮らしの変化を愉しめる大切な場所をつくることが大切だと思い設計をした。

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障子の壁の床の間


床の間は、和室空間の中で掛け軸や置物などを展示する空間として存在してきた。現在では掛け軸などを習慣が減っていき畳の部屋でも床の間を省略することが多くなった。そのような現状の中でも、華道を嗜む和室空間には床の間という展示空間が欠かせない。しかも、この住まいの床の間は通常の床の間とは多少異なる。

通常、床の間の背面の壁は開口部にはしない。砂壁もしくは塗り壁などにするのが一般的であろう。しかし、この住まいの床の間の背面は障子。その障子からは、柔らかな光が床の間を照らし生けた花を一層美しく表現する。生けられた草木の枝ぶりに躍動感を与え、見るものに幻想的なイメージまで与える。朝、昼、夜。そして、四季の花々によって変化する床の間はなかなか見られるものではないだろう。そのようなアクティブな場所が床の間。花を生ける人たちの感性を表現する舞台があるのです。

写真2

玄関は人を迎える最初の場所


お客様を迎え入れる時の最初の場所が玄関。住まいの印象を一番強く与える場所なのではないだろうか?玄関を入ると目についたのが、枝ぶりが自然の厳しさを感じる桜の樹木。
花器は、その枝ぶりをさらにダイナミックに表現するかのような荒々しいフォルム。その花器の名前は破れ壺。壺の側面が破れたようにつくられている。厳しい冬の風を受け続けてきた桜の枝は、ようやく春を迎え花の蕾を蓄えている。玄関という通常は、ただ通り過ぎてしまうだけの空間にも季節感を感じる生け花を置き、訪ねてくる客人を愉しませる。

写真3

住み手の遊び心で住まいの表情が変わる


床の間も玄関も住み手の遊び心で空間の表情がガラリと変わる。シンプルに住まいを設計しつつも住み手の表現ができる余地をつくっておくことが大切。住み手が愉しく住まいを表現すれば、暮らしは自然と愉しくなり訪れた客人も愉しくなるもの。常に可変性のある愉しみのある家づくりが、長く愛着を持って大切にできる住まいなのだろう。

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